啓蟄とは

3月頃になると、カレンダーやニュースなどで目にする『啓蟄』という文字。

読み方も意味も分からない人の方が多いのではないでしょうか。

啓蟄は春の訪れに関係した日本の文化に根付いた言葉です。
この機会にじっくり学んでいきましょう。

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啓蟄とは?意味や由来

啓蟄(けいちつ)』とは

啓は『開く』蟄は『隠れたり閉じこもったりする』という意味を持ちます。


太陽の位置で暦を読む『二十四節気』においては3番目に訪れる節気となり、
春分の一つ前になります。

二十四節気に関して記された江戸時代の本『暦便覧』では、
啓蟄を「陽気地中にうごき ちぢまる虫 穴ひらき出ればなり」と記しています。


つまり、「冬の間に土の中に閉じこもっていた虫が春の訪れを感じ取り、這い出してくる」という意味です。


まさに、春が訪れる前兆の時期と言えるでしょう。


この時期に雷が鳴ることがありますが、
その音が虫に春が来ることを知らせると言われ
この時期の雷のことを『虫出しの雷』または『虫起こしの雷』と呼んでいます。

そう言われると春の雷も趣深く感じてきますね。


なお、啓蟄に関して『虫』という表現が頻繁に使われていますが
虫に限らず冬眠する小動物や蛇・蛙など、
春の訪れを待ちわびる生き物全般を指しています。


では、一体いつから春の訪れである『啓蟄』の時期が始まるのでしょうか。

啓蟄っていつ?

啓蟄は、『二十四節気』の
『雨水(2月19日頃)』と『春分(3月21日頃)』の中間にあたります。


3月5日から春分までの期間になりますが、
二十四節気は太陽の位置で暦を読むため毎年同じ日とは限りません。

日付では覚えないようにしましょう。


啓蟄の恒例行事としては、『菰(こも)はずし』が有名です。

菰とは、冬に松の木に巻き付けてあるわらを編んだもの。


庭園など、菰が巻かれた温かそうな松の木を見たことがあるかと思いますが、
菰の中には冬の間に寒さをしのぐため松の害虫が集まります。

啓蟄の時期に、菰をはずし焼くことで害虫を退治しています。


しかし、実際に菰の中には害虫は入り込まず、
害虫退治としては意味がなかったということが近年判明しました。


今は、冬の風物詩として行なっているところが多いようです。

また、啓蟄はお雛様をしまう目安ともされています。


啓蟄は虫が目覚める時期でもあるので、
ひな祭りが過ぎて虫が出始める前に大切なお雛様を片付けておく、
という考えから根付いたのではないでしょうか。

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啓蟄と俳句

季節の言葉でもある『啓蟄』は、俳句の季語として使われています。

この季語としての『啓蟄』が俳句に頻繁に使われるようになったのは近代になってから。

昭和の俳人・高浜虚子以降と言われています。


『啓蟄』を使った高浜虚子の句には
啓蟄の蟻が早引く地虫かな」というものがあります。

これは「春の気配を感じ、いち早く働き始める蟻が地虫(地面や土の中にいる虫)を捕まえている」という蟻のたくましい姿を詠んだものです。


日差しの柔らかな春の光景が目に浮かぶようですね。


高浜虚子を師事していた川端茅舎・山口青邨も同じく
『啓蟄』を季語として詠んだ有名な俳句があります。


啓蟄を咥えて雀飛びにけり(川端茅舎)


啓蟄や蚯蚓の紅の透きとほる(山口青邨)


川端茅舎の句は「啓蟄を土から出てきた虫に例え、それを雀が咥えて飛んでいった様子」を詠んだもの

山崎青邨の句は「春を感じ這い出てきた蚯蚓(ミミズ)が、雨に洗われて透き通るように美しく見えた様子」を詠んだものです。


どちらも『啓蟄』を春の気配として、
春が近づくことで気分が躍動している様(さま)が感じ取れますね。


また、『啓蟄』は時候の挨拶としても使われます。

手紙などを出す際、文章のはじめに「啓蟄の候、」や「啓蟄のみぎり、」などを添えて書いてみてはいかがでしょうか。

まとめ

馴染みのなかった『啓蟄』について、皆さんはどのような印象を持たれたでしょうか。

寒い冬が終わり春の訪れに心躍らせていたのは、今も昔も同じこと。
改めて、日本の四季は素晴らしいものだと実感しますね。

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